ここは巽防災研究所。
　毎度のことながら、長男マトイの声が家中に響いていた。
マトイ　　「おい、ダイモンっ！　何サボってんだよ！」
　サイマが現れれば、いつも騒がしい研究所だが、今日はちょっと
　様子が違うようだ。
マツリ　　「そぉよ！　父さんのために作ってるんだから、つまみぐい
　　　　　 しないでよねっ！！　それよりダイモン兄ちゃん飾り付けでしょ！」
ダイモン　「ふぉ〜い」
マトイ　　「ダイモン、お前アレどこにしまったんだよ？」
ダイモン　「アレってなに？」
マトイ　　「お掃除コロコロ・ローラーだ！」
ダイモン　「ああ、そっちの戸棚。僕、取ってくるよ」
マツリ　　「あ゛あ゛あ゛〜！」
マトイ　　「どうした、マツリ！？」
マツリ　　「お味噌が切れてる！」
ダイモン　「なんだ、びっくりさせるなよ。ショウ兄さんに連絡すれば
　　　　　 簡単なことだろ」
　そう。今日は彼らの父モンドの誕生日なのだ。
　マトイとダイモンは掃除と飾り付け担当。
　マツリは料理担当で、ナガレはパーティーの準備ができるまでモンドに
　秘密にしようと、ベイエリア５５で必死にモンドの行動を見張る担当だ。
モンド　　「う〜ん・・・そろそろ一服するか、ナガレ」
ナガレ　　「父さん、ちょっと待って。その前にファイブレイザーの検査も
　　　　　 やっちゃおうよ。最近調子悪いんだ」
モンド　　「コーヒー、一杯くらい飲んでからでも遅くないだろ」
ナガレ　　「い〜や、遅いね。コーヒーは俺が持ってくるから。今日中に
　　　　　 全マシンの点検しとかないと俺、安心して眠れないよ」
モンド　　「はっはっは、熱心なことだな」
ナガレ　　「（ひーっ、もうそろそろ限界だよな〜）」
　ナガレが冷や汗をかいている中、ショウはアナライズロボのミントと共に、
　ケーキやクラッカーなどの買い出しに出ていた。
　ミントは買い物カゴを背負って、ショウの隣を移動している。
ショウ　　「悪いな、ミント。買い物付き合わせちまって」
ミント　　「いいえ、全然平気です〜！　
　　　　　 巽博士の誕生日、僕も一緒にお祝いしたいですから」
ショウ　　「ははっ、そっか！　・・・そういえばサイマの奴ら、最近おとなしい
　　　　　 けど、反応はないのか？」
ミント　　「はい。逆に不気味なくらいに。今日も現れないといいですね」
ショウ　　「・・・そうだな。せっかくのパーティーだもんな」
　♪ポーポーピッ♪　そこで突然ショウのブレスが鳴った。
ショウ　　「なっ！　どうしたっ？！」
マツリ　　「あ、ショウ兄ちゃん？　悪いけど『お味噌』も買ってきてよ」
ショウ　　「はぁ？」
マツリ　　「いつもの白味噌だよ。忘れないでね！　じゃ！」
ショウ　　「あっ、おい！　マツリ？！」
　マツリからの通信は一方的に切れ、ショウは脱力した。
ショウ　　「ハァ〜〜・・・ったく、おどかすなよ〜。ゴーゴーブレスを、
　　　　　 こういうことに使うなって感じだよな〜」
ミント　　「それじゃショウさん、ケーキ屋さんの前にお味噌買いに
　　　　　 行きましょうか！」
ショウ　　「ああ。・・・ホント、文句の一つも言わないミントは偉いよ」
ミント　　「そんなことないですよ〜・・・・・・っ！！！！」
　会話の途中。ミントは何かを感じ取った。
　そして次の瞬間、ショウの背後に回って叫んでいた。
ミント　　「ショウさん、危ないっ！！！」
ショウ　　「えっ！？」
　ミントの声に反応したショウだが、振り向いた時には激しい火花が
　視界に飛び込んでくる。
　ドドーーーーーーーーーーーーーーーーーン！！
　火花から反射的に身を守るショウだったが、実際にショウの身体を
　かばっていたのは・・・
ミント　　「ショウさん・・・無事で・・すか」
　・・・・・・ミントだった。
ショウ　　「ミ・・・ミント？」
ミント　　「無事で・・・無事で・・・緊急、通報・・・」
ショウ　　「ミントっ！！　おいっ、しっかりしろよ！」
ディーナス「あっははははははははははっ！」
そこに、その２人の状況を笑い飛ばすヤツがいた。
ショウ　　「っ！！　ディーナスっ！」
ディーナス「ちんけなロボットと買い物とは、ノンキなものだな、
　　　　　 ゴーグリーン！　後ろから一発で貴様を仕留めるつもり
　　　　　 だったが、とんだ邪魔が入った。
　　　　　 そんなロボでも盾くらいにはなったようだな・・・フッ」
ショウ　　「くっ！！　お前・・・」
ディーナス「今度こそ、狙いははずさんぞっ！　死ねぇぇ！！」
ディーナスの剣から光が放たれる。
　ショウは身を翻して、それらをかわした。
　攻撃をかわしながらショウは、ミントが自分を守るため、
　盾になってくれたことに腹を立てていた。
　そしてミントを守れなかったことに心を痛めてた・・・。
ディーナス「くぅぅぅっ！　ちょこまかと素早いヤツめっ！」
ショウ　　「許さねぇ・・・。ミント、待ってろよ！　すぐに治してやるからな！
　　　　　 行くぞ、ディーナスっ！　着装っ！！」
　着装したショウは、ブイランサー片手にディーナスに向かっていく。
　ディーナスの連れていたインプス達を次々となぎ倒し、
　ディーナスとの一騎打ちまで数秒とかからない。

　同じ頃、ベイエリア５５でミントの危機を察知したモンドとナガレ。
　もうパーティーどころではない。
ナガレ　　「兄さんっ！　ショウ達がサイマに襲われている！」
マトイ　　「なにぃ〜！　みんな行くぞっ！」
ナガレ・ダイモン・マツリ「おうっ！」
　オレンジジャケットを羽織り、颯爽と飛び出していく４人。
４人　　　「着装っ！！」

ショウ　　「ブイモードキック！　でぇぇぁああっ！」
ディーナス「ぐあぁぁっ！！　おのれ・・・。ピエール！！」
　ショウの怒りの攻撃はディーナスの力を越えていた。
　ディーナスはピエールにサイマ獣を呼び起こさせようと考えるが、
　そこへ駆けつけたマトイ達が、それを阻止する。
マトイ　　「ファイブレイザー！！」
ディーナス「うっ・・・なにっ！！」
マツリ　　「また貴女なの、ディーナス！」
ナガレ　　「ショータイムには早すぎるんじゃないか？」
マトイ　　「ショウ！　よく一人で耐えてたなっ！
　　　　　 後は俺達に任せろ！ ・・・ゴーブラスター！」
ディーナス「クッ・・・・覚えていろ、ゴーゴーファイブ！！」
　マトイ達の加勢によって、ディーナスは慌てるように退散した。
マトイ　　「くぅぅぅぅ〜、逃したかっ！」

　ミントは白煙を上げていた。この様子に一瞬空気が重くなるが
　ダイモンがミントの側に立ちつくすショウに恐る恐る声をかけた。
ダイモン　「ショウ兄さん、大丈夫？」
ショウ　　「・・・・ああ・・・・・」
ミント　　「通報・・・危ない・・・ショウ・・・さん・・・無事で・・・」
ナガレ　　「ひどいな・・・これは」
マツリ　　「ミント！　ミント、大丈夫？」
ミント　　「ショウ・・・さん・・・危ない・・・緊急・・通報・・・危ない」
マトイ　　「・・・・・とにかく、ウチに帰ろう」